糖尿病改善のための食事

サラダ

こんにちは。

今回は糖尿病改善のための食事についてという、よくあるブログ記事みたいなテーマです。

しかし本記事では前回までお話しした運動の効果を意識した内容となっています。

糖尿病の食事はどーしたらいーの?となると、日本糖尿病学会やら米国糖尿病学会やら日本人の食事摂取基準やらを見てもだいたい同じことが書いてあって面白いことはありません。

ちなみに日本糖尿病学会が刊行している糖尿病診療ガイドライン2019[PDF]によれば、体重に見合う総エネルギー摂取量を設定する一方で、糖尿病予防・管理のための望ましいエネルギー産生栄養素摂取比率を設定する明確なエビデンスはない、としています。

その一方で同ガイドラインでは、栄養バランスの目安は健康人の平均摂取量を勘案し、成人は炭水化物50-65%、タンパク質13-20%、脂質20-30%(飽和脂肪酸7%)といっています。

栄養バランスについては低炭水化物がよいのか低脂質がよいのか長期的な点でははっきりしない点があるので、今は上記バランスでいけば間違いはないでしょうと言っているのです。

ちなみに糖質の量については様々な意見があるようですが、米国糖尿病学会でも米国心臓学会でも、飽和脂肪酸は控えろと言っています。(米国では総摂取カロリーに対して10%未満を推奨)

米国心臓学会によると飽和脂肪酸の過剰摂取はエビデンスレベルAで心血管疾患のリスクになるとのことです。

ということは心血管疾患のリスクを考えると高脂肪食となる糖質制限は難しいということになります。

それでは糖尿病患者の食事について具体的に考えていきます。

ちなみに記事内の糖尿病は2型です。

さて、糖尿病といっても肥満の方とやせ型の方がいて、行うべき食事療法は変わります。

肥満の方は単純に脂肪を落とせばいいです。

逆にやせ型の方は脂肪を落とすのも難しい状態なので厄介です。

ということで今回は肥満の方の食事に焦点を当てます。

肥満の糖尿病の方は正直まだラッキーです。

なぜなら落とすべき脂肪がある上に重い身体を支えるために骨格筋が残っていることが多いからです。

そのため食事運動のセット治療の効果が出やすいのです。

では具体的にどうするかを考えます。

まずはとにもかくにも脂肪を落とす必要があるので、食事をコントロールしてアンダーカロリーにします。

アンダーカロリーとは摂取カロリー<消費カロリーの状態を意味します。

アンダーカロリーであれば足りないカロリー分を自分の身体の脂肪を使用して補うため、身体の脂肪が減るわけです。

逆をいえば身体に脂肪が貯まるのはオーバーカロリーだからというわけです。

肥満の方は自分にとって必要以上にカロリー摂取しているから肥満なわけです。(内分泌疾患などは除く)

ということでまずはカロリーをある程度は把握しなければいけません。

ではどれくらいのカロリーにしたらいいの?というと一応次のような計算式があります。

総エネルギー摂取量(kcal/日)=目標体重(kg)×エネルギー係数(kcal/kg)

目標体重はBMI22~25くらいでまず設定し、エネルギー係数は普通の運動量の方であれば30~35、あまり動かない人は25~30、すごく動く人は35~となっています。(糖尿病診療ガイドライン 2019)

わかりづらいので身長160cmの普通の活動量の女性で考えてみます。

BMIは体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}で出るので、仮にBMIを22に設定すると22=体重(kg)÷{1.6×1.6}となることから目標体重は約56kgとなります。

肥満の方はやせなくてはいけないので目標体重に30をかけて、ひとまずの総エネルギー摂取量は1,680kcalとなります。

あくまでこれは目安です。

あくまで目安というのは、遺伝子レベルで基礎代謝が低くなっている人もいれば運動などによる消費カロリーも一定ではないので、まず1,680kcal/日に調節しておいて、あとは鏡を見て脂肪が落ちていくかを評価していけばいいのです。

絞れてきたなと思えたらアンダーカロリーで上手くいっていますし、変わりないようであれば摂取カロリーをもう少し低く設定するか消費カロリーを上げるか工夫すればよいです。

総摂取カロリーが決まったら次はタンパク質量の設定です。

運動も併用するわけですからタンパク質は1.5g/kgは確保しましょう。(高度の腎障害者などは除く)

筋トレで筋肥大を期待する場合は1.5g~2.0g/kgくらいは摂取したいところです。

上述で仮定した女性であれば目標体重56kgなので84g/日のタンパク質摂取が必要です。

タンパク質は1g=4kcalですから、84g/日の摂取は336kcalとなります。

さて次は脂質摂取量を決めますが、脂質は総摂取カロリーの20%程度で考えます。

脂質摂取は336kcalとなります。

さらに飽和脂肪酸摂取は7%未満が理想ですが正直厳しいと考えると米国基準を採用して10%未満で考えてみます。

1日摂取カロリー1,680kcalなので飽和脂肪酸摂取量は168kcalです。

脂肪は1g=9kcalなので約18g/日となります。

一方で必須脂肪酸を含む不飽和脂肪酸も10%摂取で18g/日です。

以上の計算で1日摂取カロリー1,680kcalのうちタンパク質で336kca(全体の20%)、脂質で336kcal(全体の20%)となるので、残りの1,008kcalは糖質摂取となります。

糖質は精製されたものではなく全粒穀物などにして、1g=4kcalなので1日252gほどになります。

まとめると糖質60%、タンパク質20%、脂質20%(飽和脂肪酸10%未満)となります。

ここら辺は糖質55%、タンパク質20%、脂質25%(飽和脂肪酸10%未満)とかに調節してもいいです。

まぁ、だいたいガイドライン通りになっていますね。

さて次に上記の食事を行っていく上でのポイントをあげていきます。

1つ目のポイントは糖質50-60%程を摂取した場合、すでに糖尿病の方は食後血糖の上昇に見舞われる恐れがあるのでどうするかという点です。

本来は糖質の摂取で上昇した血糖値はインスリンが作用して低下するわけですが、糖尿病の方はインスリン作用が弱いのでインスリンだけに頼っていてはいけません。

そしてここで糖質摂ったら血糖値上がっちゃうから糖質摂らないとなってもいけません。速筋群が落ちて運動効果が弱まる上にリバウンドしやすくなってしまいます。

攻略難易度が高いやせ型糖尿病にまっしぐらです。

では糖尿病なのに糖質を摂取して食後血糖を上昇させないためにはどうするかというと筋トレです。

運動のお話は以前にしていますがしつこくもう一度言いますと、運動で骨格筋のATPを消費しAMP/ATP比を上げることでAMPKが活性化され、GLUT4が骨格筋表面に発現するようになり血糖が骨格筋に取り込まれるのでした。

つまりインスリン非依存性に血糖が低下するようになります。

運動が高強度であるほどATPは消費されるので、高強度運動が血糖低下には望ましいわけです。

食前に運動を行うとATPを消費した骨格筋は血糖くれくれと口を開けた状態で血糖を待っていることになるので、食後血糖上昇が抑えられるようになります。

大きな筋群を使ったほうがATP消費も大きくなるので、大胸筋や大腿四頭筋などを使っていきましょう。

つまりは腹筋運動よりスクワットやデッドリフト、腕立て伏せやベンチプレスをやった方がよいだろうということです。

肥満の方であれば自重でもスクワットでそれなりの負荷がかけられます。

もう上がらないというところまでやってみてください。ただし体重が多い場合、間違ったフォームで行うと怪我に繋がりますから、YouTubeなどでいいので正しいフォームをしっかり学んでから行いましょう。

運動することで食後血糖値の上昇が抑えられやすくなるはずです。

運動は食前か食後かという話はよくありますが、そこにこだわるよりもとにかくできるときにやりましょう。

個人的には筋トレは食前(というより非食後・非空腹時)がよいと思っています。

食後、胃袋に食べ物がそれなりにある状態で筋トレをしっかりやると吐きそうになったりしますし、空腹では力が出ませんよね。

ですから筋トレの30-60分くらい前に補食を行ってある程度のエネルギーを補給しておき、筋トレを行った後に食事でタンパク質をしっかり補充できればよいと思います。

食後高血糖を防いで筋肥大にもつながれば、まさに一石二鳥です。

あっ、糖尿病で薬物療法中の方はくれぐれも低血糖には注意して、ブドウ糖などを手元に用意しておくなど低血糖対策をしておいてください。それからしつこいですが筋トレは正しいフォームが超重要なのでYou Tubeなどでしっかりフォームを学んでください。

肥満の方が間違ったフォームでスクワットして腰・膝など痛めるといけません。

もちろん糖尿病に限らず持病をお持ちの方は強度の高い運動を行う前に、必ず主治医に運動の許可を確認してください。

そのうえで、食後血糖が上昇したときはすぐさまスクワットをして血糖値を下げましょう。

血糖を測定して「高かったー」と嘆くだけでは血糖は下がりません。積極的に下げていきましょう。

2つ目のポイントはいかに脂質摂取量をコントロールしてタンパク質を摂取するかという点です。

タンパク質を肉で補うとするとあっという間に飽和脂肪酸目標値をオーバーしてしまうので鶏のささ身や鶏むね肉(皮なし)くらいしか肉は食べれません。

毎日脂質をコントロールしてタンパク質をしっかりとるのはなかなか大変です。

こういったときにこそプロテインの使用を検討するといいのです。

脂質を限りなく抑えてタンパク質を摂取できます。

もちろん食品で脂質、タンパク質の目標をクリア―できる方はプロテインなどわざわざ飲む必要はありません。

タンパク質と糖質をしっかり摂って脂肪摂取は抑えていきましょう。

しかしそれだけだと上手くいかないのでやはり運動もセットになります。

毎食前運動しないといけないのか?有酸素運動の方がいいんじゃ?筋肉痛があるときはどうしたら?糖質のGI値は気にしなくてもよいのか?など、まだまだ細かな点はあるのですが今回はひとまずここまでとします。

カロリーについても、正直毎日計算など面倒なだけだしPlant-Based Whole Food Dietを採用すればカロリー計算などしなくても大丈夫。と言った方が簡単なのですが、目安として記載しました。

まずは自分にあった持続できる方法を見つけて行動することが大切です。

何かの参考になればと思います。

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