さて今回は、シナモンは2型糖尿病の改善に役立つのか？というお話しです。
なぜ突然シナモンが出てきたのかというと、シナモンと血糖の関係についての論文が最近出たからです。
シナモンで血糖が下がるのであれば、早速取り入れたくなりますよね。
日本は調味料の文化ですが、スパイスやハーブを取り入れることはあまりないという人は多いのでないでしょうか。
それでは早速論文をみていきましょう。
この論文は、2型糖尿病（T2D）または多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）患者における血糖コントロールに対するシナモンの効果を明らかにするための包括的メタ解析の結果が記載されています。
今回のメタ解析では、空腹時血糖（FPG）、インスリン抵抗性の評価（HOMA-IR）、インスリン、ヘモグロビンA1C（HbA1）などの血糖指標に対するシナモンの効果を評価した無作為臨床試験のメタ解析が対象となり、2008年から2021年までの11件が該当しました。
対象となった研究は解析前にタイトルと抄録を確認し、関連性を判断するために研究の全文も確認されています。英語の研究のみが対象となり、症例報告、観察研究、in vitro、in vivoなどは除外されています。
対象となった研究ではシナモンのサプリメントは0.12g/日から14.4g/日の範囲で投与されており、中央値は3.76g/日でした。
さて、今回のメタ解析の結果、シナモンの摂取は6つの研究で血清FPG値（SD、-0.86）を10.93mg/dL低下させていて、2型糖尿病患者において有意な血糖低下効果が認められました。またHbA1c値は0.1%低下、インスリンは2.01IU/mL、HOMA-IRは0.61低下していました。
研究ごとに異なる種類のシナモンを使用していることや、サプリメントの摂取量と研究期間がすべての研究で得られていないことなどの研究限界はあるものの、シナモンは血糖低下作用があり、2型糖尿病患者やPCOSの血糖値をコントロールする治療薬として期待ができると論文では結論づけられています。（PCOSについて本記事では詳細に記載していませんが、PCOSでも血糖低下効果は認められています）
と、こちらの論文を読むと「早速シナモン買いに行かなきゃ！」と思っちゃいますが、論文解析によるシナモンサプリの摂取量には注意しなければいけません。
0.12～14.4gと幅が広く、中央値で3.76gですね。
家庭でスパイスとして使用されるシナモンスティック及びシナモンパウダーについて欧州委員会(EC)による上限値は設けられていないようですが、日本の食品安全委員会によるとシナモンに含まれるクマリンの摂取量が増えると肝障害を引き起こす恐れもあるとしています。
そのためクマリンを多く含むシナニッケイ（カシアシナモン）について、体重60kgの成人では1日当たり2g、体重15kgの小児では1日当たり0.5g程度以上の長期摂取を推奨はしておらず、スパイスとして多量のシナモンを頻繁に使用する場合は、クマリンの含有量が少ないセイロンシナモンを選択すべきである。とのことです。
さらに、クマリンへの暴露は、クマリン入りのボディーケア製品などの他の経路で増える可能性があることに留意すべきである。とも仰っています。
論文で対象となった研究で使用されたシナモンがカシアなのかセイロンなのかまではわかりませんが、シナモンであればいいのでしょうか？
こちらの論文はシナモンはその抗酸化効果や抗炎症効果から、2型糖尿病において血糖や脂質のコントロールに役立つよと言っているのですが、そのなかでセイロンシナモン3g/日およびカシアシナモン1-2g/日の使用はHbA1cを有意に低下させたとしています。
また以下の2つの研究ではセイロンシナモンは血糖改善効果が認められたとしていました。
ということで、長期的にシナモンを使用する場合にクマリンを気にする方はセイロンシナモンが無難そうです。
またカシアシナモン1-2g/日でも血糖低下に寄与したという上記の論文もあるので、食品安全委員会が仰るようにカシアシナモンなら2g/日までに抑えておく方が無難なのかもしれません。
最後になぜシナモンで血糖が下がるのかを調査してみました。
以下の論文によれば、シナモンはPI3-キナーゼおよびリン酸化された細胞内タンパク質IRS-1のレベルを増加させることによってインスリン受容体の活性を刺激し、細胞のグルコース取り込みを増加させるらしいです。
なんのこっちゃ？状態かと思いますが、簡単にいえばシナモンはインスリン作用を高めて血糖を下げる可能性があるということです。
ということで、シナモンは血糖改善に役立ちそうな気配ですね。
さまざまなシーンでシナモンを使ってみるといいことあるかもしれません。
ではでは。