骨格筋量が少ないことは糖尿病に悪影響か?

骨格筋量と糖尿病

こんにちは。今回は骨格筋量と糖尿病についての最新の研究論文のご紹介です。

これまでも骨格筋量は血糖コントロールに重要な要素であることは述べてきました。

今回の記事も参考にして、ぜひ筋肉増量を心掛けていただければと思います。

極端な糖質制限からの骨格筋も根こそぎ減量で喜び終了ではいけません。

さて今回Diabetes/Metabolism Research and Reviews誌に掲載された研究結果によると、骨格筋量と糖尿病罹患率の間には有意かつ負の関連が観察されました。

これまでも世界では骨格筋量と糖尿病罹患率、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の関連についてはいくつかの研究が行われていましたがアジア人にも当てはまるかは、はっきりしていませんでした。

そこで、韓国の研究者達が韓国人の若年および中年男女を対象に、骨格筋量、糖尿病有病率、インスリン抵抗性の関連を明らかにするために行った研究が今回の論文です。

今回の研究では定期健診を受けた372,399人から糖尿病歴が不明、慢性腎臓病、がん、甲状腺疾患、ステロイドの使用歴などがある人が除外され、最終的な解析には144,076人が対象となりました。

研究参加者は全員、ソウルの病院でアンケートに回答し、骨格筋指数(SMI)分位値や糖尿病の発症率、HbA1c、インスリン抵抗性(HOMA-IR)が評価されました。

骨格筋指数分位値はQ1(最も筋量が少ない)からQ4(最も筋量が多い)に分けられています。

参加者の平均年齢は38.92歳で、平均HbA1cは5.47%、HOMA-IRは1.47でした。

結果としては(交絡因子調整後)、最も低い骨格筋量分位(Q1)と比較して、Q2、Q3、Q4の糖尿病発症率はそれぞれ0.95(95%CI、0.85-1.05)、0.88(95%CI、0.78-0.99)、0.79(95%CI、0.69-0.9)でした(P<0.001)。

つまり、骨格筋量が多くなるにつれて糖尿病発症率は低下していたということです。

同様にインスリン抵抗性(HOMA-IR)と骨格筋量分位の関係を見てみると、骨格筋量分位(Q1)と比較して、Q2で0.05(95%CI、0.03-0.07)、Q3で-0.06(95%CI、-0.09-0.04)、Q4で-0.19(95%CI、-0.22-0.16)でした(P<0.001

つまり、骨格筋量が多い方がインスリン抵抗性が低い傾向にあったということです。

また、骨格筋量位値とHbA1cについては用量反応関係が認められ、Q1と比較した場合、Q2、Q3、Q4においてHbA1cはそれぞれ-0.09(95%CI、-0.1~-0.08)、-0.17(95%CI、-0.18~-0.17)、-0.27(95%CI、-0.28~-0.27)でした(P<0.001

これらの結果から研究者らは、健康な韓国人成人において、骨格筋量と糖尿病発症率、インスリン抵抗性、HbA1c値には負の関連が示されたと結論づけています。 

もちろん研究には限界があり、今回の研究は横断研究なので因果関係については確定することはできませんから、アジア人におけるさらなる研究が期待されますね。

とはいえ正常の糖代謝時には血糖の約7割を消費する骨格筋量が減少することが望ましいわけはないと思います。

血糖を抜きにしても、何歳になってもシャキシャキ動ける身体でいたくないですか?

放っておけば加齢とともに筋量は減少してしまうので、指をくわえて筋量減少を見ていないで、運動をするとともに、しっかり栄養をとっていきましょう。

高齢になっても筋量は増えますからね。

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