朝食を抜くと昼・夕食後の血糖が上昇する!?

朝食とその後の食後血糖との関連

こんにちは。

今回は朝食を食べることは1日を通したときの食後血糖の安定につながるというお話です。

なぜそう言えるかというと、朝食を食べなかった場合、昼食後や夕食後の食後血糖上昇につながりやすいからです。

ということで、そういう根拠となる研究をみてみましょう。

こちらの研究は米国糖尿病学会が発行するDiabetes Care に掲載されたものです。

2型糖尿病患者において朝食抜きはHbA1cおよび食後高血糖と関連しているわけですが、朝食抜きが昼食と夕食後の血糖にどれほど影響を及ぼすのか検討することを目的とした研究になります。

対象患者は平均糖尿病罹病期間8.4±0.7年、年齢56.9±1.0歳、BMI28.2±0.6kg/m2、HbA1c7.7±0.1%(61±0.8mmol/mol)の糖尿病患者22人で、朝食、昼食、夕食をとる日(朝食日)と、昼食と夕食はとるが朝食はとらない日(欠朝食日)の2つの試験日に無作為に割り付けられました。

朝食日も欠朝食日も各食事の内容は701±8kcal、脂肪20%、炭水化物54%、蛋白質26%、繊維7%と統一されており、食後血糖値、インスリン、C-ペプチド、遊離脂肪酸(FFA)、グルカゴン、iGLP-1などが評価されました。

結果は朝食日と比較して欠朝食日の昼食後は、血糖値、FFA、グルカゴンの0-180分の曲線下面積(AUC 0-180)はそれぞれ36.8、41.1、14.8%高くなり(つまり血糖値、FFA、グルカゴンが高い状態になっていた)、インスリンとiGLP-1のAUC 0-180はそれぞれ17%、19%低くなっていました。

同様に夕食後について、朝食日と比較して欠朝食日は、血糖値、FFA、グルカゴンのAUC 0-180は、それぞれ26.6、29.6、11.5%高く、インスリンとiGLP-1のAUC 0-180は7.9%、16.5%低くなっていました。

つまり、朝食を抜くと昼食後と夕食後の血糖値は上昇しやすくなり、インスリン分泌能は低くなっていました。

なぜ朝食を摂取した方が昼夕食後のインスリン分泌能が高いかというと、朝食によってβ細胞反応性の亢進が誘導されるからと考えられています。(セカンドミール効果)

そしてこの考えは、インスリン分泌の第1相と第2相はともにβ細胞が過去の分泌の影響を受けており、インスリン分泌の大きさは以前のグルコース暴露によって有意に増強されるという知見に基づいています↓

逆を言えば、インスリンを分泌させない状態を続けるとβ細胞のインスリン分泌能は小さくなっていくということです。

つまり極端な糖質制限を行うとβ細胞はインスリンをたくさん出す必要がない状態に慣れてしまい、本来必要なインスリン量も分泌できなくなる恐れがあるということです。

ありがちな糖質制限者の経過として、「食後血糖が高い→糖質制限を行う→食後血糖が下がる→糖質を摂取してみる→インスリン分泌能が落ちているため食後血糖が上がる→糖質はやはり悪→糖質制限を続ける→インスリン分泌能は落ちる→糖質摂取で血糖上がる→糖質制限止められない→to be continued…」

極端な糖質制限を長期間続けることはβ細胞を休ませるというよりβ細胞を怠けさせることになっているかもしれません。

ということで論文の結論です。

  1. 朝食を抜くと昼食後および夕食後の食後高血糖に繋がりやすくなり、iGLP-1の低下やインスリン分泌低下に関連していた。
  2. 朝食は長期的な血糖調節に影響を及ぼしていて、その影響は一日中持続する。そのため朝食の摂取は2型糖尿病における食後高血糖を減少させるための戦略となりうる。

ここまで読んで、朝食を食べるか抜くかはあなた次第ですが、朝食を食べるといってもパンとコーヒーのみなどバランスが悪ければよろしくないので、朝には食物繊維やタンパク質など炭水化物以外にもしっかり摂取していきましょう。

ではでは。

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