果糖は太るのか

肥満体型の後ろ姿

こんにちは。

今回は果糖についてのお話です。

以前の記事で糖質はカロリーオーバーしても簡単には体脂肪にならないと説明しました。

その記事では糖質=グルコースとして解説しましたが、もちろん糖質にはグルコース以外もあります。

ではグルコース以外の糖質でカロリーオーバーしても簡単に脂肪にならないかというと実はそうもいきません。

今回は口にする機会の多い果糖でカロリーオーバーしたらどうなるのか、太るのか太らないのかをみていきます。

目次

果糖の過剰摂取はすぐ太る!でも…

いきなり結論ですが果糖の過剰摂取はグルコースと違って、すぐに体脂肪が増えます。

それはなぜでしょうか。

順に解説していきます。

まず糖質には単糖類、二糖類、多糖類などの種類があります。

単糖類は、それ以上分解することができない糖の最小単位のことでグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース(脳糖)があります。

果糖は読んで字の如く果物に含まれていますが、清涼飲料水などにも果糖ぶどう糖液糖などの名称で含まれています。

また砂糖は二糖類ですが、果糖とブドウ糖が結合していますので砂糖の摂取も果糖の摂取に繋がります。

さて、食べた果糖はどうなっていくのかを簡単にまとめます。

以前は、果糖は小腸で吸収された後に肝臓で代謝されると考えられてきました。

しかしながら、最近の研究では果糖はその大部分が小腸でブドウ糖となった後に吸収されることがわかりました。

果糖の代謝

上記論文より

これはつまり大量ではない果糖であれば肝臓に到達する果糖はかなり少ないということです。

とはいえ、小腸の代謝能力を上回る大量の果糖を摂取した場合には果糖のまま吸収される割合が増加し門脈血中の果糖濃度が上昇します。

果糖はブドウ糖の100倍ほどタンパク質との結合力が強いため、最終糖化産物(AGEs)を産生してしまいます。

身体としてはいいことではないので門脈から肝臓に流入した果糖は、肝臓で即行代謝されます。

具体的には門脈血中のフルクトース(果糖)はインスリン非依存的に肝細胞に取り込まれ、フルクトキナーゼによってフルクトース1-リン酸になった後に、アルドラーゼBによってグリセルアルデヒドとジヒドロキシアセトンリン酸に分解されます。

グリセルアルデヒドもジヒドロキシアセトンリン酸もグリセルアルデヒド3-リン酸になることができ、解糖系の反応が進んでいき代謝されます。

では果糖の過剰摂取が続くとどうなるのでしょうか。

ブドウ糖(グルコース)の摂取でエネルギー過剰状態になるとグリコーゲン合成量が増加し、すぐには脂肪が増えないことは以前の記事で解説しました。

グルコースは肝臓に取り込まれたのち、グルコキナーゼによってグルコース6-リン酸になり、そこからフルクトース6-リン酸、フルクトース1,6-ビスリン酸へと解糖系が進んでATPを産生します。

上記の中でフルクトース6-リン酸からフルクトース1,6-ビスリン酸への反応は、ホスホフルクトキナーゼ-1(PFK-1)という酵素によって活性化されます。

一方、ATPが過剰になるとPKF-1が阻害され、フルクトース6-リン酸からフルクトース1,6-ビスリン酸への反応が抑制されます。

その結果、グルコース6-リン酸はフルクトース6-リン酸の方向に進まずグリコーゲン合成に向かうことになるというわけです。

つまりグルコースが過剰になると、まずはグリコーゲンが合成されるということです。

ではフルクトース(果糖)ではどうなるかというと、フルクトースの代謝ではPFK-1による反応の抑制を受けないためにATPが過剰でもどんどん代謝され、グリセルアルデヒドやジヒドロキシアセトンリン酸が増えていきます。

これらは通常であれば解糖系に入ったり糖新生に使われたりするのですが、ATPが過剰であればATPを産生する解糖系に進まず、中性脂肪の合成に進むことになります。

血糖が低ければ糖新生の方に進みますが果糖を過剰に摂取した場合というのは、すでに小腸からグルコースとして一定量のフルクトースを吸収した後ですし、だいたいは砂糖(グルコース+フルクトース)のようにフルクトースとともにグルコースも摂取しているので、糖新生回路にガンガン進むということは起こりにくいです。

ということで、果糖を過剰摂取してカロリーオーバーになると、その分は体脂肪として増えることになります。

ちなみに果糖の過剰摂取についての論文をみると、果糖はインスリンを介さずに、脂質合成を促すSREBP-1cというタンパク質を活性化するとのことです。

また、下記の論文によると果糖の過剰摂取により、脂肪生成の増加、尿酸の生成、小胞体ストレス、および炎症が引き起こされるだろうと言っています。

果糖の過剰摂取には注意が必要ですね。

と、ここまで読んでいただいた結果、

果糖は怖い

果物を食べるのも控えないと…

と思っていないでしょうか。

実は、一般的な果物に含まれる果糖の量は大したことありません。

食品成分表2020によれば、バナナ100g(約1本)でも果糖は2.4gです。

一方、サイダー100gでは5.2gと推計されています。

バナナ2本食べてもサイダー100gより少ないわけです。

日本人の果物摂取目標は1日約200g(可食部)であり、摂取量は少ない人が多いです。

果糖の過剰摂取に注意するときは、果物を減らすという前に、砂糖や果糖ぶどう糖液糖を使用した清涼飲料水や缶コーヒーなどに注意すべきですね。

まとめ

いかがでしたか?

果糖の過剰は確かに太ることにつながりますから、果糖摂取の過剰には注意が必要です。

そして、果糖の摂取過剰を避けるために控えるべきは果糖ぶどう糖液糖や砂糖のような添加糖です。

間違っても、添加糖を気にせずに果物の摂取を控えるというようなことはしないようにしましょうね。

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