食物繊維は食後血糖値を低下させる?

食物繊維

糖尿病でも糖尿病じゃなくても食後血糖値は低下させたいと思いますよね。

食後血糖値を低下させるために食前にリンゴ酢を飲んだり、シナモンやフェヌグリークを摂取したり、炭水化物を最後に食べたりと色々な工夫をされていることと思います。

そこで今回は食物繊維摂取と食後血糖値の関係をみてみることにしましょう。

果たして食物繊維は食後血糖を低下させるでしょうか。

まずはこちらの論文を見てみましょう。

こちらの研究は、パンに食物繊維を加えることによって食後血糖値を含めた代謝への影響があるかを明らかにするためにニュージーランドで行われた無作為クロスオーバー試験です。

研究では食物繊維含有パン(1食分で食物繊維10g)とプラセボパンを使用して食後血糖などを比較しています。

対象者は80人で、食物繊維含有パンとプラセボパンを2週間のウォッシュアウト期間を挟んで摂取しています。またパンを摂取した3時間後に550gのパスタが提供され自由摂取してもらっています。

結果は、食物繊維含有パンの摂取はプラセボと比較して食後血糖値を35%減少させ、その後のパスタ摂取を含めた累積エネルギー摂取量を約88kcal減らしていました。また、食物繊維含有パン摂取は鼓腸や膨満感などの胃腸の不快感を引き起こしませんでした。

食後血糖増加量

ということで、食物繊維含有パンは食後血糖を低下させる効果があったようです。

食物繊維含有パンといえばライ麦パン、全粒粉パンなどが頭に浮かびますね。

まぁ1つの研究のみでは心もとないので、他の研究にも目を向けてみます。

こちらの研究は、インドの過体重成人における食後血糖反応に対する食物繊維の効果を評価したものです。

96名が対象となり、対象者は一晩(12時間)絶食した後に高脂肪の朝食を食べて、その後食物繊維の豊富な飲料(食物繊維7.5g)摂取かプラセボ飲料(食物繊維0g)摂取に無作為に割り付けられました。そして、食後血糖値などが評価されました。

結果は食物繊維が豊富な飲料を摂取した場合、プラセボと比べて食後血糖値が有意に低下していました。

結論として食物繊維が豊富な物の摂取は食後血糖値の低下に役立ったと言っています。

食物繊維パワー、ありそうですね。

続いて日本人の研究を見てみましょう。

以下の研究では日本人2型糖尿病8名に食物繊維を添加した食事と添加しない食事摂取を摂取してもらって、食後血糖値がどうなるかを評価しています。

糖尿病患者における食物繊維摂取量と食後血糖・インスリン分泌動態の検討 (クリックするとPDFがダウンロードされます)

結果は、食物繊維を添加した食事後は通常食と比べて食後血糖上昇は30分後から抑制され、さらに半数例では120分後まで食後血糖上昇の抑制が認められました。

これらの研究結果から食物繊維の摂取はやはり食後血糖上昇に役立つ可能性が考えられますね。

そもそも食物繊維摂取量は不足している人が多いので1日20gは目指して摂取していきたいところです。

さて、ここまで見てきて早速食物繊維を食べていこうと感じたと思いますが、食物繊維ってなんでもいいの?と疑問に思った方もいるかもしれません。

食物繊維摂取量が不足している人が多いので、まずはなんでもいいから食物繊維20g/日は目指して食べようということになりますが、日本人において食物繊維摂取物による食後血糖上昇について調査した研究があります。

こちらの研究では健常な日本人15名を対象として、基本食、基本食+難消化デキストリン4g、基本食+大根サラダ(食物繊維4g)、基本食+オクラサラダ(食物繊維4g)を摂取してもらって食後血糖推移を調査しています。

結果としては、どの食物繊維も基本食のみと比較して食後血糖上昇量を抑制し標準偏差も小さくしていました。

※標準偏差が小さい:基本食では被検者によって食後血糖のばらつきが大きかったですが(食後血糖がかなり高くなる人もいれば、そんなに上がらない人もいた)、食物繊維摂取によりばらつきが小さくなっていたということです。

さらにオクラサラダが最も食後血糖上昇と食後血糖のばらつきを抑えていました

論文では粘性の高い食物繊維の方が食後血糖上昇抑制に役立つかもしれない。とのことです。

ということで、繰り返しになりますがまずは食物繊維をしっかり摂取するために植物性食品を豊富に食べて、可能であれば粘性の高いオクラなども食べていくことが食後血糖上昇を抑制し、糖尿病改善にも役立つことと考えられます。

ではでは、また次回。

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