運動は血圧低下にも役立つことは知られていますが、運動といっても様々なものがありますね。
そこで今回は、血圧低下に最も効果的な運動はなんなのか?という研究結果についてのお話です。
こちらの研究は、血圧低下に最適な運動を特定するために、1990年から2023年2月までに発表された270のランダム化比較試験(RCT)の系統的レビューとメタ解析を行ったものになります。
解析には対象となった研究は、少なくとも2週間の運動介入群と非介入対照群に割り付けられたRCTで参加者数は15,827人となっています。
解析の結果、運動は効果的であるものの特にアイソメトリックトレーニングが安静時血圧を改善することが見出されました。
アイソメトリックトレーニングとは筋の長さを変えない運動のことです。 筋の長さを変えないというのは、簡単に言えば身体自体は動かないものの力を入れている状態です。具体的には壁座りや空気イス、プランクなどの運動です。
研究では有酸素運動、有酸素運動と筋トレ、いわゆる筋トレ、HIIT(高強度インターバルトレーニング)、アイソメトリックトレーニングのそれぞれで、安静時収縮期血圧と拡張期血圧の低下度合いを調査しています。
結果を以下に示します。
収縮期血圧(mmHg) | 拡張期血圧(mmHg) | |
有酸素運動 | -4.49 | -2.53 |
有酸素と筋トレ | -6.04 | -2.54 |
筋トレ | -4.55 | -3.04 |
HIIT | -4.08 | -2.50 |
アイソメトリック | -8.24 | -4 |
見ての通りですが、結果としてはアイソメトリックトレーニングで最も安静時収縮期血圧と拡張期血圧の低下が認められました。
また、収縮期血圧に対するSUCRA値に基づく有効性の順位は以下の通りでした。
- 等尺性運動トレーニング(SUCRA、98.3%)
- 複合トレーニング(SUCRA、75.7%)
- 動的レジスタンストレーニング(SUCRA、46.1%)
- 有酸素運動トレーニング(SUCRA、40.5%)と高強度インターバルトレーニング(SUCRA、39.4%)
アイソメトリックトレーニングといっても色々ありますが、壁を背にしたスクワットが効果的であったようです。
ということで、あくまで今回発表された研究ではアイソメトリックトレーニング(特に壁スクワット)が安静時血圧を最も下げたという結果でした。
これを読んで、アイソメトリック壁スクワットをやろうと思った方がいるかもしれませんが、具体的にはどうやって行ったらよいのでしょうか。
動作は上記の動画として、何分しゃがんだまま?セット回数は?などが気になるところです。
そこで次の論文を見てみましょう。
こちらの論文は自宅でのアイソメトリック壁スクワットは安静時血圧を下げたという内容です。
アイソメトリック壁スクワットの方法について記載されていますが、しゃがんだ姿勢を2分間維持した後ゆっくり戻って2分休憩、これを1セットとして計4セットを行っています。頻度は48時間のインターバルをおいて週3回となっています。
ということで参考にしてみてるといいでしょう。
と言ったものの実際やってみると2分間はけっこうきついです。ですから腰の高さや腕の位置(動画では両腕を前に上げていますが下ろした方が負荷は軽くなります)、持続時間などは調節していきましょう。
運動初心者の方は軽い負荷から始めて徐々に慣らしていってください。
そして立ち上がるときはゆっくり戻るようにしましょう。
アイソメトリックトレーニングに限らず運動は何であっても適度に行えば健康に役立ちますから、積極的に取り組んでいただきたいですが、アイソメトリック壁スクワットなら天気が悪くても自宅でできる上に時間も長くかからないので取り組みやすそうですね。
早速、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。