こんにちは。
今回は肥満が糖尿病につながる科学的根拠のいくつかを簡単にご紹介いたします。
先日、Journal of Diabetes InvestigationにUPDATESが掲載されました。
上記では肥満型2型糖尿病(以下、糖尿病)の特徴に以下の2つを挙げています。
1.脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出と異常なアディポカインの分泌がインスリン抵抗性を引き起こす。
2.1による異常が膵β細胞の機能障害を引き起こす。
つまりは異常な脂肪細胞がインスリン抵抗性と膵β細胞機能障害の両方を引き起こしているということです。
ということで結局は糖尿病の治療は『脂肪を落とす』ということになります。
上記のUPDATESの中には『膵β細胞の減少は糖尿病発症前の耐糖能異常のときから始まっており肥満者のβ細胞障害は非肥満者より速くすすむ。』ともあります。
このことは糖尿病と診断されたならば「なかなか痩せれなくて…」とか言ってる場合じゃないよってことを意味します。
そんなことを言っている間に粛々とβ細胞障害が進んでしまうわけです。
ではなぜ肥満によってβ細胞の機能障害が進んでしまうのでしょうか。
UPDATESの中では、β細胞が慢性的に遊離脂肪酸に晒されると細胞内酸化ストレスや小胞体ストレスが増強し、オートファジーにおけるタンパク質分解の一連の流れであるautophagic fluxが減弱し、結果としてβ細胞の機能障害が引き起こされる。とされています。
※autophagic flux:オートファゴソームの形成 ⇒ オートファゴソームへのリソソームの結合 ⇒ オートリソソームによるタンパク質分解という一連の流れのこと。
脂肪酸おそるべしです(異常に溢れてしまった場合)。
さらに肥満型2型糖尿病の脂肪細胞は自身から遊離脂肪酸を溢れ出すことで満足せず、脂肪細胞からアディポサイトカインというβ細胞機能障害につながる物質の分泌異常も起こします。
アディポサイトカインとしてUPDATES内ではレプチン、アディポネクチン、アディプシンが紹介されています。
レプチンは食欲を亢進させる作用があり、一般的には肥満者ではレプチン濃度は高くなっています。
またレプチンはKチャネル経由のインスリン分泌を障害し、β細胞の増殖まで障害してしまいます。
一方、アディポネクチンは筋や肝臓においてインスリン感受性を改善し、さらには抗動脈硬化作用もあるのですが肥満者では減少しています。
さらにさらに2型糖尿病患者ではβ細胞機能を高めるアディプシンも低下しています。
アディプシンの効果を調べたマウス実験では、アディプシンを欠損させたマウスでは耐糖能異常をきたし、それらのマウスにアディプシンを投与すると耐糖能異常が改善しています。
結局のところ肥満型2型糖尿病はまず脂肪を落とさなければならないという治療の王道が支持される結果なわけです。
やはり肥満型2型糖尿病はまず痩せなければいけないわけですね。
痩せるというのは筋肉や水分を落とすことではなく脂肪を落とすということですが、ではどうするかは次の機会に。