ここでは最適な血糖値を理解して、目指すべき血糖値を明確に把握しましょう。(上の画像で表示されている5.0 mmol/Lは90 mg/dLになります)
昨今は糖質制限という言葉を耳にする機会が多いですが、低炭水化物食やケトン食にしていれば、血糖値を上げずに維持することは難しくはありません。
これは血糖を上げないという点からは素晴らしいことですが、実は糖尿病の改善とは言えません。
糖尿病の改善とはインスリン機能の改善であり、血糖値のコントロールはあくまでインスリン機能の改善結果の一つです。
低炭水化物食で血糖値を上げずにいればインスリン抵抗性が必ず改善するというわけではありません。
むしろ低炭水化物食を続けているとインスリン抵抗性が高まることさえあります。
そのためブドウ糖負荷試験前など、耐糖能を評価する検査前日などは糖質をしっかり摂取しなくてはいけません。
健康な個人の血糖値は約80〜140 mg/dLの範囲であり、食事、運動、ストレス、およびその他の多くのライフスタイル関連の要因に応じて変化します。
このため、1日を通して可能な限り80〜140 mg/dLの範囲の血糖値を目標とします。
インスリン注射をしていない場合や基礎インスリンのみを使用している場合は、空腹時に1日1回血糖値をチェックしてみましょう。
食事の前や運動をする前の朝一番に確認してみるとよいです。
基礎インスリンと追加インスリンの両方を注入する場合は、3食の食前と食後2時間での血糖値チェックをお勧めします。
理想的な空腹時血糖値は80〜100 mg/dLの間であり、食後の良好な血糖値は80〜140 mg/dLです。
高い場合は、糖尿病改善法に従って理想的な血糖値を目指していきましょう。
ヘモグロビンA1c値(HbA1c)は、グルコース残基が付着している赤血球内のヘモグロビンの量を測定するもので、過去1-2か月の血糖の平均を知る指標として使用します。
医療機関で糖尿病のコントロール指標として用いられます。
血糖コントロールが良いほどA1c値は低くなり、血糖コントロールが悪いほどA1c値は高くなります。
健康な人のA1cは4.0〜5.6%の範囲です。
インスリン依存性でインスリン注射を使用している場合は、まずは5.5〜6.5%のA1c値を目標にすることをお勧めします。
そして低血糖が起きていないようであれば、さらに良好なA1c値を目標にします。
インスリン非依存性(インスリン注射をしていない)の場合は、低血糖または経口薬の使用なしでA1cを5.6%未満にすることを目指しましょう。
自己血糖測定は糖尿病を改善させるためには有用です。
できれば血糖測定器を用意して食前や食後などに自分の血糖を評価してみましょう。
費用の問題はありますが、一度装着すると毎回指を穿刺する必要がなく24時間いつでも計測できるフリースタイルリブレもお勧めです。
自己血糖測定に対して穿刺する不安があったり面倒だと感じたりすると思いますが、自分の血糖がいつ、どれくらい高いのか(低いのか)を知ることはとても大切です。
自分の血糖値を知ることで、食事や運動による血糖コントロールが自分でできるようになります。
血糖値が気になり過ぎて神経質になることもよくありませんが、普段全く血糖値を気にせずにいると糖尿病はなかなか改善しません。
医療機関を受診したときだけ血糖値を意識するのではなく、普段から血糖値に対する意識を持つようにしましょう。
何をどれくらい食べたら血糖値がどうなるのかなど、重要な情報を学習することと、神経質にならない程度の適切な血糖測定のバランスを見つけてください。
低脂肪の植物性食品を食べると食事の栄養素密度が大きくなり血糖値上昇が緩やかになります。
栄養価の低い、低炭水化物食またはケトン食の食事をすると、ビタミン、ミネラル、食物繊維、水、抗酸化物質が不足しやすくなります。
高脂肪の食事をするとインスリン抵抗性が高まり、さらに砂糖や果糖ブドウ糖液糖なども加わってカロリー過剰になると肥満が進みます。
糖尿病改善の原則に基づき、低脂肪、精製されていない全粒穀物の炭水化物の食事を意識しましょう。
また、タンパク質をしっかり摂取し、不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維を補給するために野菜や果物を取り入れることも忘れずに行いましょう。
食品から十分摂取できていないと感じたときはサプリメントを適宜使用することもいいでしょう。
身体にいい食事を摂り、それで肥満や血糖値が改善していくことを確認してください。