糖尿病の原因を知る

こちらのページにようこそ!

これから糖尿病を改善するための方法を学び、実践することで確実に糖尿病を改善していきましょう。


ところで、あなたはなぜ糖尿病になってしまったのか理解していますか?


2019年に厚生労働省より発表された「2017年患者調査の概況」によると糖尿病の通院患者数は2014年の調査と比較して約12万3,000人増加し、328.9万人になっています。

医学やテクノロジーは日進月歩で進化しているにも関わらず、糖尿病患者はどうして増えてしまうのでしょうか。


それは多くの人が糖尿病のことや、糖尿病になっている原因、糖尿病を改善させる方法を知らないからです。


これを読んでいるあなたも、糖尿病と診断されるまでは、糖尿病という病名くらいしか知らなかったのではないでしょうか。

糖尿病を改善させるためには、糖尿病について知らなければなりません

敵のことを知らなければ適切な攻略法はわかりません。


ということで、まず最初に糖尿病を知るところから始めましょう。

糖尿病といっても1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などに分類されますが、本ページでは2型糖尿病についてお伝えします。(本ページを読んでいる方は2型が多いと思いますので)


インスリンを理解する

まずは糖尿病改善の鍵となるインスリンの理解から始めましょう。

インスリンは脂肪合成を促進することなどから肥満ホルモンと呼ばれることもありますが、もちろんインスリンだけのせいで肥満になるわけではありません。


インスリンは血糖を低下させるだけでなく、骨格筋のタンパク合成を促進させたり脂肪細胞において脂肪の分解を抑制したりと様々は役割を担っている重要なホルモンです。


人間はインスリンがないと健康的に生きることはできません。

肥満ホルモンなどと呼ばれたとしても、インスリンそのものが悪いわけではありません。

何がよくないのかといえば、それはインスリンが過剰分泌されてしまう状態がよくないのです。


そのため、インスリンが過剰に分泌されるのはどうしてかを知る必要があります。

本ページではインスリンの過剰分泌について理解を深めますが、その前にインスリンの役割をみてみましょう。


インスリンの役割

1.糖質代謝では肝臓と骨格筋でグリコーゲン合成を促進し、骨格筋と脂肪組織では糖質の取り込みを増加させ、さらには肝臓における糖新生を抑制する

2.脂肪組織における脂肪酸分泌を低下させ血中への脂肪酸の遊離を低下させる。

3.ほとんどの組織でアミノ酸の細胞内取り込みを促進してタンパク質合成を促進する。


健康な状態であればインスリンが作用することで血管内から細胞内に血糖が取り込まれ、血液中の血糖値は低下します。

しかし糖尿病であればインスリン作用が低下しています(インスリン抵抗性)。


インスリン抵抗性が生じると、血糖を低下させるために今までよりもインスリンが大量に必要になります。

例えば、10個のインスリンで血糖値を10下げることができたのに、インスリン抵抗性では20個のインスリンが必要になるということです。


つまりインスリン過剰分泌となるわけです。


ではそもそも、インスリン抵抗性を引き起こす原因は何でしょうか。

糖質を含む炭水化物でしょうか。


実はインスリン抵抗性の根本的原因は炭水化物ではありません。

インスリン抵抗性を引き起こす直接的原因は脂肪です。

食べている脂肪の量と脂肪の種類がインスリン抵抗性が高まるかを決定する主な要因です。


簡単にいえば、食事性脂肪(=脂質)が多いほど(特に飽和脂肪)インスリン抵抗性は高くなります


インスリン抵抗性の原因:過剰な食事性脂肪

1963年にフィリップ・ランドルという科学者は血中の遊離脂肪酸と血糖が密接に関係している回路の存在を提唱しました。(ランドルサイクル)


食事で脂質を過剰に摂取すると血液中の遊離脂肪酸が上昇し、エネルギー源として細胞に取り込まれます。

細胞が脂質のエネルギーで満たされてしまうと、エネルギーとなる血糖が取り込まれなくなってしまうためにそ血糖が低下せずに上昇するというわけです。


高糖質の摂取は確かに高血糖に繋がる恐れがありますが、インスリン抵抗性の原因は過剰な脂質の摂取なのです。


インスリン抵抗性は、大量の脂肪を本来は貯蔵すべきではない組織(肝や膵など)に、脂肪が過剰に蓄積することによって引き起こされます。


ではなぜ大量の脂肪の摂取がインスリン抵抗性を引き起こすのでしょうか。

その理由を順を追ってみていきましょう。


1. 脂肪が体内に入る

食事性の脂質の90%以上は中性脂肪の形となっています。

脂質を含む食品を食べると食道から胃、そして小腸に流れていきます。小腸は脂質をキロミクロンと呼ばれる粒子にしてにリンパ系に流し、リンパ系から血液に移行します。


キロミクロン中の中性脂肪は脂肪組織や筋肉で遊離脂肪酸に分解されて取り込まれます。


脂質は水に溶けないため、脂質の消化は炭水化物やタンパク質と比べて時間がかかります。

脂っこい物をたくさん食べた後は胃もたれを起こしやすいわけです。


さて、キロミクロンから分解された血中の遊離脂肪酸は脂肪細胞や筋肉に簡単に入ることができます。

これは、血糖はインスリンがないと脂肪細胞や筋肉に簡単に入ることができないことと対照的です。

脂肪酸もインスリンによって細胞内への取り込みが促進されますが、インスリンがなくても取り込まれるのです。


血中の遊離脂肪酸は細胞に対して「ねえ細胞、私達は血液中にたくさんいるのだから細胞内に取り込んで!」と言います。


そして過剰な脂肪酸は、血液中に存在する限り細胞に侵入し続けます。

残念ながら、細胞には脂肪酸の大量の侵入を防ぐ高性能な機能がありません。


結局、血中の遊離脂肪酸(つまり脂肪)が多ければ多いほど、脂肪は細胞に取り込まれることになります。


2. 脂肪が蓄積していく

ほとんどの人は自分の体の脂肪の量を最小限に抑えたいと思っていますが、脂肪組織にも役割があります。

一言でいうと身体の保護器官です。


例えば余ったエネルギーを蓄えておいたり、臓器の鎧として身体を保護したり、体温を保つのに役立ったりします。

さらに脂肪はホルモン分泌器官でもあります。


脂肪組織は身体に過剰なカロリーがあるときには、そのエネルギーを蓄えるようになっています。

エネルギーとして蓄えられた脂肪組織はまずは皮下脂肪なります。

皮下脂肪はお腹でつまむことができる脂肪のことです。


皮下脂肪として蓄える限界がくると脂肪組織は内臓脂肪として蓄積することになります。


では、我々はどれくらいのエネルギーを脂肪組織として蓄えることができるのでしょうか。


実は人それぞれです。


つまり、脂肪をたくさん溜めこむことができる人とできない人がいるのです。

そして、日本人は欧米人と比較して皮下脂肪を溜める能力は弱いです。

そのため、欧米人のような肥満体の日本人を見ることは少ないのです。


これを言い換えると、日本人は内臓脂肪を溜めやすいということですが、何か問題があるのでしょうか。


3. 脂肪組織が炎症を起こす

私達の筋肉と肝臓は本来、常に脂肪が少ない状態でいるように機能しています。

しかし、これらの組織はあなたの血液に存在する栄養素を吸収するため、脂肪分の多い食事後数時間に発生する大量の脂肪酸の流入を防ぐことができません。


肝臓や筋肉の細胞が脂肪酸の燃焼と貯蔵を開始すると、血糖の取り込みがブロックされます。


1回の高脂肪食から数時間以内にインスリン受容体の数が減って機能が低下することで、細胞は血液中のインスリンを認識することが困難になります。


細胞はインスリンを認識することで血液中にブドウ糖(血糖)がたくさんあることを認識し、血糖を細胞に取り込むわけですが、インスリンを認識できないために血液中のブドウ糖(血糖)は血液から細胞に移動することができず血糖値は下がらなくなります。


これがまさにインスリン抵抗性の初期段階です。


脂肪を貯蔵して、他の臓器に過剰な脂肪が蓄積することを防ぐ脂肪組織とは異なり、筋肉と肝臓の組織は本来は少量の脂肪しか貯蔵しません。


しかし、脂肪が豊富な食事の後で肝臓と筋肉が血液から過剰に脂肪を吸収すると、それらはインスリン抵抗性を引き起こし始め、血糖の取り込みが妨げられます。


肝臓の細胞は血糖が低いと認識したときはブドウ糖を血液に送り出して、常に脳に一定のブドウ糖を供給することができます(糖新生)。


過剰な食事性脂肪の蓄積により肝臓でインスリン抵抗性を発症すると、肝臓はインスリンを効果的に認識できなくなるため、血糖の上昇も認識できなくなります。


そうなると肝臓は、血糖値が高いにも関わらず血糖が低いと勘違いしてしまい糖新生を行います。

その結果、空腹時高血糖、および食後高血糖を引き起こします。


実際、過剰な脂肪酸が蓄積すると、肝臓はブドウ糖をどれだけ血液中に放出するかを正確に制御できなくなります。


一方で、脂肪細胞は大量の脂肪を蓄えることができます(どれだけ溜めれるかは人それぞれです)。

しかし、脂肪が持続的に過剰摂取されると脂肪細胞も過剰状態になります。


過剰になった脂肪細胞は炎症という身体にとってよくない現象を引き起こすホルモンなどを分泌するようになり、その結果として炎症が起きることになります。


4. 膵ベータ細胞がストレスを受ける

膵臓のベータ(β)細胞はインスリンを製造して血液に分泌するという重要な機能を持っています。

一方で、膵β細胞以外にインスリンを生成するシステムがないため、β細胞の機能が損なわれると身体全体の組織に壊滅的な問題が生じます。


β細胞は高濃度の脂肪に長期間さらされた場合、脂肪細胞による炎症の影響もあってストレスを受けることになります。

持続的にβ細胞がストレスを受けた結果、β細胞は自ら細胞破壊を起こして消滅してしまいます。


「もうこれ以上、脂肪によるストレスに耐えられない!」と思いつめたβ細胞は自ら死を選んでしまうのです。

実社会においてもストレスなどで追い詰められた結果、自ら死を選択してしまう人がいることと似ています。


そして多くのβ細胞が消滅してしまうと、インスリンの産生は急速に低下します。

インスリン産生が低下すると、もちろん血糖を下げることができなくなるため糖尿病となります。


ではどうするか

インスリン抵抗性から膵β細胞の減少を起こし、糖尿病になってしまった方は一生治らないのでしょうか。


決してそんなことはありません!


インスリン抵抗性を大幅に下げると、残りのβ細胞は多くの場合は十分なインスリンを産生します。


また、インスリン感受性を高めることによって身体のインスリンの必要性を減らすことがことができます。


糖尿病改善法では、筋肉と内臓における過剰な脂肪の蓄積を防ぎ、かつ減らす方法と、不要な血糖値の上昇を防ぎ、インスリン抵抗性を改善させてβ細胞の減少を防ぐ方法を教えます。


さあ、あなたは糖尿病の原因を知ることができました!

では次のステップは何をしたらよいでしょうか?


次のページでは、インスリン抵抗性の原因となる食事性脂肪についての理解を深めます。


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