多くの人から、グリセミック指数(Glycemic Index:GI)に注意を払うことが重要であるかどうか、食事後の血糖値の上昇を抑えるために食品の糖質を低くすべきかどうかが尋ねられます。
今回はGIについて知っておくべきことを説明し、何を食べて何を制限するかを正確に理解できるようにします。
GIとは、特定の食品の血糖値の上昇度合いを評価した値です。
食品の炭水化物50gを摂取した際の血糖値上昇の度合いをブドウ糖を100とした場合の相対値で、GIが最も高い食品はブドウ糖になります。
GIが低い食品のスコアは55以下、GIが中程度の食品のスコアは56〜69、GIが高い食品のスコアは70〜100です。
食品のGIは食品が食べられる温度、調理方法、熟度、および種類(例:じゃが芋とさつま芋)によって異なります。
葉野菜、でんぷん質の野菜、豆類などのGIが低い食べ物は食事後の血糖値の急上昇を最小限に抑えて、安定した血糖値が得られるため、GIはある程度は役立ちます。
パイナップルのような高GI食品を食べると、ブルーベリーのような低GI食品を食べるよりも血糖値が急上昇する可能性があります。
しかしながら、GIは食品の栄養素密度を考慮に入れていないため、誤解を招く可能性もあります。
例えば、スニッカーズバーのGIは43、ピーナッツバターのGIは33で、どちらも低い値です。
しかし、ご存じのようにスニッカーズバーとピーナッツバターはどちらもインスリン作用を減弱し、次に炭水化物が豊富な食品を食べようとすると食後血糖値が上昇します。
GIは食品中の主要栄養素の量や種類、同じ食事の他の食品の存在、食品の栄養素密度、インスリン感受性のレベルなどを考慮していません。
それらの理由からGIだけでは良好な血糖コントロールはできません。
さらに摂取する絶対量も考慮されていません。
GIが高い食品でも摂取量がわずかであれば血糖の上昇も僅かになり、GIが低い食品でも大量に摂取すると血糖も高く上昇するため、食後血糖を考えたときにはGIのみならず摂取量も考える必要があるわけです。
グリセミック負荷(Glycemic Load:GL)はGIに基づいていますが、GLは摂取量も考慮に入れた指標です。
GLは、低 1〜10、中11〜19、高 20以上に分類されます。
GLは摂取量を考慮していますが、それでもGIと同様に正確性に欠ける可能性があります。
例えば、バナナの摂取を考えます。
バナナの平均GIは51と低く(参考:International Tables of Glycemic Index and Glycemic Load Values: 2008)、1本食べた場合のGLは12くらいで中程度になります。2本食べた場合のGLは24となって高くなります。
ではバナナは食後高血糖を招きインスリン抵抗性の原因になるのでしょうか。
バナナは脂質の摂取よりも良いインスリン感受性をもたらします。
残念ながらGLは、インスリン感受性と高炭水化物食に耐える能力を考慮に入れていないシステムになります。
つまり、GIもGLもどちらも不完全であり、参考にすることは有用ですが、それだけで食品を決定できるものでもないことを理解しましょう。
糖尿病の場合、食後の急激な血糖上昇を防ぐためにGIやGLに注意を払うことは重要ですが、それらの食品の糖質以外の栄養素も十分に考えなくてはいけないということです。
GIやGLが低くても総カロリーや飽和脂肪酸などに意識を向ける必要があります。
さまざまな野菜や果物を食べることに焦点を当てましょう。